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足跡が消えない世界へようこそ
【悔恨】萩原朔太郎「野鼠」の詩を知る【詩集】

萩原朔太郎詩集より

萩原朔太郎詩集



P252  「野鼠」

どこに私らの幸福があるのだらう

泥土の砂を掘れば掘るほど

悲しみはいよいよふかく湧いてくるではないか。

春は幔幕のかげにゆらゆらとして

遠く俥にゆすられながら行つてしまつた。

どこに私らの恋人があるのだらう

ばうばうとした野原に立つて口笛を吹いてみても

もう永遠に空想の娘らは来やしない。

なみだによごれためるとんのづぼんをはいて

私は日雇人のやうに歩いてゐる

ああもう希望もない 名誉もない 未来もない。

さうしてとりかへしのつかない悔恨ばかりが

野鼠のやうに走つて行つた。


【幔幕】 まんまく 式場や会場などで、まわりに張りめぐらす幕

野鼠萩原朔太郎

とてつもなくネガティブな内容だな
現状に満足している人には
この詩はまったくと言って刺さらないだろう
でも、今を必死に生きたくても居場所がなくて路頭に迷っている人たちには
さぞ、この詩は刺さることだろう

追伸

今日は満月だからか
体の調子が悪い・・・。
激しい頭痛、肩凝りがあって
ボーとしております( ;∀;)







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【泳ぐ】萩原朔太郎「ばくてりやの世界」【詩集】

萩原朔太郎詩集より

萩原朔太郎詩集

P124 「ばくてりやの世界」 月に吠えるより


ばくてりやの足、
ばくてりやの口、
ばくてりやの耳、
ばくてりやの鼻、


ばくてりやがおよいでゐる。


あるものは人物の胎内に、
あるものは貝るゐの内蔵に、
あるものは玉葱の球心に、
あるものは風景の中心に。


ばくてりやがおよいでゐる。


ばくてりやの手は左右十文字に生え、
手のつまさきが根のやうにわかれ、
そこからするどい爪が生え、
毛細血管の類はべたいちめんにひろがつてゐる。


ばくてりやがおよいでゐ。


bakuteria.jpg

ばくてりやが生活するところには、
病人の皮膚をすかすやうに、
べにいろの光線がうすくさしこんで、
その部分だけほんのりとしてみえ、
じつに、じつに、かなしみたえがたく見える。


ばくてりやがおよいでゐ。


ばくてりやの世界






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【秘密】萩原朔太郎「夢に見る空家の庭の秘密」【詩集】



萩原朔太郎詩集より

萩原朔太郎詩集

P221 「夢に見る空家の庭の秘密」

その空家の庭に生えこむものは松の木の類

びわの木 桃の木 まきの木 さざんか さくらの類

さかんな樹木 あたりにひろがる樹木の枝

またそのむらがる枝の葉かげに ぞくぞくと繁茂するところの植物

およそ しだ わらび ぜんまい もうせんごけの類

地べたいちめんに重なりあつて這ひまはる

それら青いものの生命

それら青いもののさかんな生活

その空家の庭はいつも植物の日影になつて薄暗い

ただかすかにながれるものは一筋の小川のみづ 

夜も昼もさよさよと悲しくひくくながれる水の音

またじめじめとした垣根のあたり

なめくぢ へび かへる とかげ類のぬたぬたとした気味わるいすがたをみる。

さうしてこの幽邃な世界のうへに

夜は青じろい月の光がてらしてゐる

月の光は前栽の植込からしつとりとながれこむ。

あはれにしめやかな この深夜のふけてゆく思ひに心をかたむけ

わたしの心は垣根にもたれて横笛を吹きすさぶ

ああ このいろいろのもののかくされた秘密の生活

かぎりなく美しい影と 不思議なすがたの重なりあふところの世界

月光の中にうかびいづる羊歯 わらび 松の木の枝

なめくぢ へび とかげ類の無気味な生活

ああ わたしの夢によくみる このひと住まぬ空家の庭の秘密と

いつもその謎のとけやらぬおもむき深き幽邃のなつかしさよ。


【幽邃】 ゆうすい けしきなどが奥深くて物静かなこと
【前栽】 せんざい 庭先に植え込んだ草木
【羊歯】 しだ

夢に見る空家の庭の秘密


この詩は何を訴えているのかなぁ?
ただひとつ言えるのは
やっぱり陰の世界観なんだよね~

朔太郎の心象風景?なのかな??







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【不安】萩原朔太郎「晩秋」【詩集】

萩原朔太郎詩集より

萩原朔太郎詩集


P442  「晩秋」

汽車は高架を走り行き
思ひは陽ざしの影をさまよふ。
静かに心を顧みて
満たさるなきに驚けり。
巷に秋の夕日散り
舗道に車馬は行き交へども
わが人生は有りや無しや。
煤煙くもる裏街の
貧しき家の窓にさへ
斑黄葵の花は咲きたり。


【斑黄葵】むらきあふひ

晩秋930

秋はきっと
こんな気持ちにさせる季節なんだよね・・・。




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【漂泊】萩原朔太郎「珈琲店 酔月」【詩集】

萩原朔太郎詩集より

萩原朔太郎詩集


P440  「珈琲店 酔月」


坂を登らんとして渇きに耐えず

蹌踉として酔月の扉を開けば

狼藉たる店の中より

破れしレコードは鳴り響き

場末の煤ぼけたる電気の影に

貧しき酒瓶の列を立てたり。

ああ この暗愁も久しいかな!

我れまさに年老いて家郷なく

妻子離散して孤独なり

いかんぞまた漂泊の悔を知らむ

女等群がり卓を囲み

我れの酔態を見て憫みしが

たちまち罵りて財布を奪ひ

残りなく銭を数へて盗み去れり。



【蹌踉】そうろう ふらふらとよろけるさま

【狼藉】ろうぜき ちらかった様子

【漂泊】ひょうはく さまよい歩くこと。さすらうこと。

【憫み】あわれみ

珈琲店酔月

酔いつぶれて
最後は女たちに
金を奪われるw

悲しすぎるだろうw





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